FXの両建てとは?
FX取引を始めると、聞いたことがあるかもしれない「両建て」という言葉。初心者の方には少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、実際にはシンプルな概念です。この記事では、FXにおける両建ての基本的な意味から、メリットやデメリット、さらにリスクについて詳しく解説していきます。まずは、両建てがどういうものなのかを理解しましょう。
両建ての基本:FXにおける意味と仕組み
両建てとは、同じ通貨ペアで売りと買いのポジションを同時に持つことです。
これにより、相場がどちらに動いても、一定の利益を確保したり、損失を限定したりすることが可能です。
例えば、米ドル/円で同時に「買い」と「売り」を行うことで、価格変動に対して両方の方向で対応できるようになります。
両建ては一見、リスクを減らすように見えますが、実際には特定の状況でのみ有効な戦略です。
FX取引の両建ての解説
まず、FX取引における「両建て」とは、同じ通貨ペアで「買い」と「売り」のポジションを同時に保有することを指します。例えば、米ドル/円の通貨ペアで「米ドルを買う」と「米ドルを売る」という取引を同時に行うことです。
ここで「買い」と「売り」についても少し説明します。FXでは、通貨を「買う」ことで、その通貨の価値が上がると利益が得られます。逆に「売る」ことで、その通貨の価値が下がると利益が得られます。両建てでは、この「買い」と「売り」を同時に行うため、価格がどちらに動いても、利益や損失が発生するのです。
FX取引での両建てのやり方
具体的な両建ての方法は、通常の取引と同じように簡単です。取引プラットフォームで、まず「買い」ポジションを持ち、次に「売り」ポジションを持つだけです。このとき、同じ通貨ペアを選んでください。両建ての際には、買いと売りのポジションを同時に開くことがポイントです。
例えば、米ドル/円で「1ドル=100円」のときに「買い」ポジションを持つとしましょう。その後、価格が少し変動し、「1ドル=100.5円」になったときに「売り」ポジションを持ちます。このようにして、両建てを行います。
両建ての活用場面としては、市場がどちらに動くかわからないときに、リスクヘッジのために行うことが多いです。また、税金対策や、含み損を一時的に回避するためにも利用されることがあります。
両建てのメリット:リスクヘッジと税金対策
両建てには、リスクをヘッジする方法としてのメリットがあります。
両建てを行うことで、予期せぬ相場の変動に対して利益を確保したり、損失を限定することができます。また、税金対策としても効果的です。
例えば、含み損を確定させずに翌年に繰り越すことで、税金の負担を軽減することが可能です。
ただし、両建てにはコストもかかるため、そのメリットを最大限に活かすためには戦略的な運用が必要です。
FXで両建てをするメリット
両建てにはさまざまなメリットがありますが、ここでは主に3つのポイントに絞って解説します。
含み損の拡大を一時的に抑えられる
両建ての最大のメリットは、含み損を一時的に抑えることができる点です。含み損とは、ポジションを持った状態で、そのポジションが損失を出している状態を指します。通常の取引では、損失が出るとそれに応じて損失額が増えていきますが、両建てを行うことで、損失の拡大を防ぐことができます。
例えば、米ドル/円で「買い」ポジションを持っていて、価格が下落した場合、「売り」ポジションを同時に持つことで、下落による損失を「売り」ポジションでカバーすることができます。これにより、含み損が拡大するのを一時的に抑えられるのです。
相場の様子見ができる
市場が不安定で、今後の動きが予測できない場合にも、両建ては有効です。両建てを行うことで、市場がどちらに動いても対応できるため、相場の様子見をしながら、次の動きを待つことができます。
例えば、重要な経済指標の発表前や、政治的なイベントが控えているときなど、相場が大きく動く可能性がある場合に両建てを行うことで、急な変動に備えることができます。
含み益を翌年まで繰り越せる(税金対策)
もう一つの大きなメリットは、税金対策としての利用です。FXで得た利益には税金がかかりますが、両建てを利用することで、含み益を翌年に繰り越すことが可能です。
例えば、12月に含み益が出ている場合、翌年に「売り」ポジションを持って含み益を繰り越すことで、当年の税金を軽減することができます。これにより、税金の負担を分散させることができるのです。
両建てのデメリットとリスク
両建てにはリスクもあります。特に、取引コストが増加し、利益が思ったよりも得られない可能性があります。
両建ては、ポジションを2つ同時に持つため、その分スワップポイントやスプレッドが増え、コストがかかります。また、相場が大きく動いた場合、どちらのポジションも損失を出す可能性があるのです。
例えば、ポジションを長期間持ち続けると、スワップポイントが大きくなり、利益を圧迫することがあります。また、急激な相場変動により、両方のポジションで損失が出ることもあります。
そのため、両建てを行う際には、コストとリスクを十分に考慮することが重要です。
FXで両建てをするデメリット
両建てにはメリットがある一方で、デメリットやリスクも存在します。これらを理解しておかないと、思わぬ損失を被ることになります。
マイナススワップが発生する可能性がある
FXでは、ポジションを翌日に持ち越す際に、スワップポイントという金利が発生します。両建ての場合、買いと売りのポジションを同時に持つため、片方のポジションでプラススワップ、もう片方でマイナススワップが発生します。
特に、マイナススワップが大きい通貨ペアを選んでしまうと、毎日その分だけ損失が発生することになります。長期間両建てを行う場合、このマイナススワップが積み重なり、予想以上のコストがかかることがあります。
スプレッドの負担が増える
スプレッドとは、通貨ペアの「買い」と「売り」の価格差のことです。FX取引では、このスプレッドが実質的な取引コストとなります。両建てを行う際には、2つのポジションを同時に持つため、スプレッドが2倍発生します。
例えば、米ドル/円のスプレッドが0.3銭の場合、両建てを行うと0.6銭のコストが発生します。これにより、利益が減少するリスクが高まります。
ロスカットのリスクが高まる
両建てを行うことで、リスクを分散できるように思えますが、実際にはロスカットのリスクも高まります。ロスカットとは、損失が一定の基準に達した場合に、自動的にポジションが決済されることを指します。
両建ての場合、片方のポジションが大きな損失を出してしまうと、全体の証拠金維持率が低下し、ロスカットのリスクが高まるのです。特に、急激な相場変動が発生した場合、このリスクはさらに増します。
大きな利益を狙えない
両建ての最大のデメリットは、大きな利益を狙うことが難しい点です。両建てを行うことで、相場の動きに対してリスクを分散することができますが、その分、片方のポジションで得られる利益がもう片方のポジションで相殺されることが多いです。
例えば、米ドル/円で大きな上昇があった場合、「買い」ポジションで利益を得られますが、「売り」ポジションで損失が発生します。このようにして、結果として大きな利益を得ることが難しくなります。
なぜ両建ては推奨されないのか?
両建ては、特定の状況でのみ有効な戦略であり、一般的には推奨されません。
両建てには、取引コストやロスカットリスクが高まりやすい点、また利益が相殺されやすい点などのデメリットがあるためです。
例えば、スプレッドやスワップポイントの負担が増え、期待していた利益を得ることが難しくなります。また、ロスカットのリスクが高まり、損失が予想以上に膨らむ可能性もあります。
そのため、両建てを行う際には慎重な判断が必要であり、通常は他のリスクヘッジ手法を検討する方が賢明です。
FX取引で両建てを推奨しない理由
両建てには多くのメリットがあるように見えますが、実際には多くのリスクとデメリットが存在するため、一般的には推奨されていません。以下に、その主な理由を挙げます。
機会損失となる可能性がある
両建てを行うことで、リスクを分散することができますが、その分、利益を得るチャンスを逃す可能性があります。相場が大きく動いた場合、片方のポジションで得られるはずだった利益が、もう片方のポジションでの損失によって相殺されることが多いためです。
例えば、相場が急上昇した場合、「買い」ポジションで大きな利益を得られるはずですが、「売り」ポジションでの損失がその利益を減らしてしまうことがあります。結果として、思ったよりも利益を得られず、機会損失となってしまうのです。
取引コストが膨らむ
前述の通り、両建てを行うと、スワップポイントやスプレッドなどの取引コストが増加します。特に長期間ポジションを持ち続ける場合、このコストが積み重なり、予想以上に損失が膨らむことがあります。
例えば、マイナススワップが大きい通貨ペアを選んでしまった場合、毎日のスワップポイントが大きな負担となり、利益を圧迫します。これにより、取引全体でのコストが膨らみ、最終的な利益を大きく減少させるリスクがあります。
【まとめ】
FX取引の両建てとは|メリット・デメリットや推奨しない理由など詳しく解説
FXの両建ては、リスクヘッジや税金対策として有効な手法ですが、デメリットやリスクも多いため、初心者にはあまり推奨されません。特に、取引コストが増加する点や、大きな利益を狙うことが難しい点を理解しておくことが重要です。両建てを行う際には、十分な知識と経験が求められます。この記事を通じて、両建ての正しい理解を深め、FX取引での成功を目指しましょう。
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