FX 過去検証で使える統計分析
FXトレードで成功するためには、過去のデータを分析して自分のトレード戦略を磨くことが重要です。過去検証(バックテスト)を行う際に、統計分析を活用することで、より信頼性のある結果を得ることができます。本記事では、FXの過去検証で使える統計分析について、具体例を交えながら解説します。
過去検証とは?
過去検証とは、過去の市場データを使って、自分のトレード戦略がどれだけ有効かを確認する手法です。例えば、特定のチャートパターンやインジケーターを使って、過去のデータでどれだけ利益が出たかを検証します。これにより、今後のトレードで同じ手法を使うべきかを判断できます。
重回帰分析を使った検証の具体例
重回帰分析は、FXにおける価格変動が複数の要因によってどのように影響を受けるかを解析するための強力なツールです。以下では、実際のデータを使用して、USD/JPY(ドル/円)の価格変動を重回帰分析で検証する具体例を紹介します。
データの準備
まず、重回帰分析に使用するデータを準備します。今回は、USD/JPYの過去1年間のデータを使い、以下の4つの独立変数(予測因子)を選定します。
- 米国GDP成長率(Quarterly Growth Rate, %): 米国の経済成長の指標。
- 米国非農業部門雇用者数(NFP)(Monthly Change, in Thousands): 米国の雇用状況を示す重要指標。
- 日本消費者物価指数(CPI)(Yearly Change, %): 日本のインフレ率を示す指標。
- ドルインデックス(DXY): ドルの相対的な強さを示す指数。
データ例
月 | USD/JPY 変化率 (%) | 米国GDP成長率 (%) | NFP 変化 (千人) | 日本CPI 変化率 (%) | ドルインデックス (DXY) |
---|---|---|---|---|---|
2023/01 | 0.85 | 1.4 | 250 | 0.5 | 102.50 |
2023/02 | -0.65 | 1.3 | 200 | 0.4 | 101.20 |
2023/03 | 0.40 | 1.5 | 300 | 0.6 | 103.10 |
このようなデータを12ヶ月分、またはさらに長期間にわたって収集します。
重回帰モデルの構築
次に、これらのデータを使って重回帰モデルを構築します。モデルの目的は、USD/JPYの変化率を他の4つの独立変数を用いて説明することです。具体的には、以下のようなモデルを構築します。
モデル式:
USD/JPY変化率 = α + β1 × 米国GDP成長率 + β2 × NFP変化 + β3 × 日本CPI変化率 + β4 × ドルインデックス + ε
ここで、
- α: 切片(定数項)
- β1, β2, β3, β4: それぞれの独立変数に対応する回帰係数
- ε: 誤差項
重回帰分析の実行
データを用いて重回帰分析を実行すると、各独立変数の回帰係数が計算されます。例えば、以下のような結果が得られたとします。
回帰分析結果:
- α = 0.10
- β1 (米国GDP成長率) = 0.35
- β2 (NFP変化) = 0.002
- β3 (日本CPI変化率) = -0.15
- β4 (ドルインデックス) = 0.50
p値:
- 米国GDP成長率: p = 0.01
- NFP変化: p = 0.20
- 日本CPI変化率: p = 0.05
- ドルインデックス: p = 0.02
解釈:
- 米国GDP成長率 (β1 = 0.35, p = 0.01): 米国GDPが1%増加すると、USD/JPYの変化率が0.35%増加することが予測されます。p値が0.01であるため、この変数は統計的に有意といえます。
- NFP変化 (β2 = 0.002, p = 0.20): NFPが1千人増加すると、USD/JPYの変化率が0.002%増加することが予測されますが、p値が0.20であり、統計的に有意ではありません。
- 日本CPI変化率 (β3 = -0.15, p = 0.05): 日本のインフレ率が1%増加すると、USD/JPYの変化率が0.15%減少することが予測されます。p値が0.05であるため、この変数も統計的に有意です。
- ドルインデックス (β4 = 0.50, p = 0.02): ドルインデックスが1ポイント上昇すると、USD/JPYの変化率が0.50%増加することが予測されます。p値が0.02で、この変数も統計的に有意です。
結果の応用とトレード戦略
重回帰分析の結果から、米国のGDP成長率とドルインデックスがUSD/JPYの変化に対して強い影響を与えていることがわかります。これを基に、以下のようなトレード戦略を立てることができます。
- 戦略例 1: 米国のGDPが予想を上回る場合、USD/JPYの上昇が見込まれるため、買いポジションを取る。
- 戦略例 2: ドルインデックスが上昇傾向にある場合、USD/JPYの買いポジションを増やす。
- 戦略例 3: 日本のCPIが予想を上回る場合、USD/JPYが下落する可能性があるため、売りポジションを検討する。
このように、重回帰分析を用いることで、複数の要因が市場に与える影響を定量的に評価し、トレード戦略をより精緻化することが可能です。
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